2004年11月30日

増える休暇と出生率

イギリスに来てびっくりしたことの一つは、同僚の多くが「育児」を理由に頻繁に休みをとったり、早退したりすることです。
それも女性だけではなく、男性も毎週のように休みをとります。

もちろん、日本にいたときにはこんなことはまったく考えられなかったですが、よく考えてみたら、この国では2000年にブレア首相自ら2週間の育児休暇をとって支持率を回復させたというエピソードもある国です。
それだけ育児休暇が奨励されているということなのでしょう。

日本でもこんな政治家がいれば面白いのですが、日本の首相の育児といっても、せいぜい息子をサントリーのビールの宣伝に出演させた人の話くらいしか思い浮かびません。
そもそも年寄りの政治家が多い日本では、43歳で首相になったブレア氏のように、在任中に子供が生まれるというケースは当分なさそうです。
ちなみに、筆者にも子供が生まれるというケースは当分なさそうです。

ところで、育児休暇制度の推進は、もう一つの大きな効果があるようです。
ちょっと長くなりますが、先日の朝日新聞の社説に、こんな話が紹介されていました。

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・・・英国は00年から官民挙げて「仕事と生活の調和策」に取り組んできた。

従業員9万4千人を抱える最大手の電信電話会社は正社員に在宅や短時間の勤務を認めた。いまは7千人が自宅で働き、6600人が短い勤務である。

離職率は3%にまで下がり、産休後に職場に戻る女性が98%になった。社員を募集する費用など年間100億円近い経費が減り、生産性は30%も上がった。

仕事と生活の調和策を進めると、企業にとってどんな損と得があるのか。政府は、調和策を取り入れたい企業や組織に無料でコンサルタントを派遣する。この3年間で22億円をかけて448社を支援した。どの会社も業績を上げている。

フルタイムとパートタイムの不合理な差別を禁じる法律もつくられた。

英国政府が仕事と家庭の両立を進めてきた主な理由は労働力の確保と生産性の向上だ。働きやすくすることで国民に自立してもらい、福祉にかかる費用を減らすねらいもあった。

そこに、思わぬ効用が加わった。90年代に入って下がり続けていた出生率が、01年の1・63を底に03年には1・71へと上がったことだ。願ってもない大きなおまけだった。
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ご存知のように、日本の出生率はじわじわと下がり続け、1.29にまで落ち込んでいます。
イギリスも日本と同様、年金財政が破綻の危機に直面していることもあって、労働力の確保が重要な課題とされているだけに、日本にも参考になる話ではないでしょうか。

一般的に、女性の社会進出が進んだために出生率が低下したと思っている人が多いのですが、実はこれは間違いで、下の図のように先進国ではスウェーデン、デンマークなど女性就業率の高い国ほど出生率が高く、スペイン、イタリアといった女性就業率の低い国の方が出生率が低いという、U字型のカーブを描くような傾向があります。

birthrate
(経済産業省ホームページより)

これは、出生率を上昇させるためには、女性が働きやすく育児がしやすい職場作りが何よりも重要である、ということを如実に物語っているといえるでしょう。
そして、女性にとって働きやすい職場とは、実は男性にとっても働きやすい職場と言えるのではないでしょうか。



posted by fumifumi at 00:00| Comment(10) | TrackBack(0) | ☆英国びっくり体験記! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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