2005年09月08日

英国の郵便ポストの不思議

賢明な読者ならもうお気づきのことと思いますが、筆者は郵便ポストが大好きです。
イギリス在住時代、町を歩いていて、ふと懐かしい気分にさせてくれたのが郵便ポストでした。

EVIIR

上の写真は筆者が在住していた家の近所のポストですが、昔の日本のような可愛らしいデザインのポストは「癒し系」といってもいいかもしれません。

ところでこのポスト、よく見ると「εVIIR」と、くねくねした字でデザインされているのがお分かりでしょうか。
これは、「Edward VII, Rex」(エドワード7世王)を表していて、すなわちエドワード7世時代(1901〜1910年)にこのポストが建てられたことを意味しているのです。

郵便ポストにまでその名が刻まれるとは、さすが大英帝国の王様だけあります。
「おいら、高速道路の、星〜♪」などと洋楽を直訳で歌うだけの、どこかの国のチョビ髭の王様とは威厳が違います。

ちなみに写真のロンドン西部・イーリング(Ealing)界隈は19世紀末に鉄道が開通したころから開発されたニュータウンなので、ちょうど町が出来たころと重なります。

下の写真はやはりロンドン西部のアクトン(Acton)近くで撮ったものですが、こちらには「GR」と記されているので、少し新しいジョージ5世の時代(1910〜 1936年)であることが分かります。

GR

下のポストはさらに新しいもので、「EIIR」とあることからエリザベス2世時代(1952年〜 )に出来た最新式です。

eiir

他にも、都心に行くとヴィクトリア時代(1837〜1901年)の「VR」もよく見かけます(写真はロンドン西部のシェファーズブッシュ《Shepherd's Bush》近く)。

VR

驚くべきことにこの150年以上の間、円柱型の郵便箱自体のデザインはまったくと言っていいほど変わりません。
こんなところにも古いものを大切にするイギリス人の心意気が感じられます。

ところで、このポストの刻印、一体何パターンあるのだろうと思い調べてみると、ヴィクトリア女王以来、イギリスには以下の6人の王・女王が登場しています。

●ヴィクトリア(Victoria)(1837年 〜 1901年)
●エドワード7世(Edward VII)(1901年 〜 1910年)
●ジョージ5世(George V)(1910年 〜 1936年)
●エドワード8世(Edward VIII)(1936年)
●ジョージ6世(George VI)(1936年〜1952年)
●エリザベス2世(Elizabeth II)(1952年〜 )

そして、それぞれの時代に作られたポストには、「VR」「EVIIR」「GR」「EVIIIR」「GVIR」「EIIR」と刻印がされているのです。

ところで、上の年表を改めてよく眺めてみると、ひとつ面白いことに気づきませんか?
さあ、よ〜く考えてみてください!




・・・。




・・・残念ながら誰も考えてはくれなかったようです。
残念ですが、実はエドワード8世だけ、在位期間が約10ヶ月と、他の人より極端に短いのです。

なぜ彼だけこんなに短いのか、これについて書き始めると小林幸子の芸能歴のように長くなってしまうので割愛しますが、このわずか10ヶ月の間に建てられたポストは極めて少ないはずです。
ていうか、そもそも存在するのでしょうか。

スコッツマン・コムによれば、この10ヶ月間に製造されたポストが実は161個ほどあるそうです。
そして、ヘンドン・ディストリクト建築協会が行った調査によれば、ロンドンに今なお2つ現存することが確認されているとか。
ちなみに場所は、どちらもロンドン北部のヘンドン(Hendon)とイーストフィンチリー(East Finchley)です。
また、未確認ながらロンドン北東部のコックフォスター(Cockfoster)と北部のエンフィールド(Enfield)からも目撃情報が寄せられている模様です。
いずれにせよ、相当のレアものであることだけは間違いないようです。

そこで、ロンドンに限らずイギリス在住のみなさん!
もしあなたの街で貴重な「EVIIIR」のポストを発見したら、ぜひ写真に撮ってお寄せください!
・・・まあ、そんなこと言われても誰もお寄せしないとは思いますが。

ちなみにこれは常識かもしれませんが、近代郵便制度はヴィクトリア時代にはじまった物なので、当然のことながらそれ以前の王様の刻印の入ったポストは存在しません。
したがって、それ以前のたとえばエリザベス1世のポストはないかなー、なんてもし探しているヤツがいたら、そいつは間違いなくただのアホです。
したがって、筆者はアホです。



posted by fumifumi at 00:00| Comment(32) | TrackBack(0) | ☆英国びっくり体験記! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月05日

華盛頓ショッピング事情

アメリカは「レイバーデイ」(Labor Day)のため3連休です。
レイバーデイは、その語感からゲイバーと勘違いしている人も多いと思いますが、実はヨーロッパのメーデーにあたるアメリカの労働者のための祝日なのです。
今あちこちでセールをやっていて、この日にショッピングに出かけるのは、「食べ過ぎ」、「でしゃばり」と並んで米国民の三大義務の一つです。

というわけで筆者も、途中「I like your ass!」と叫びながら絡んでくるゲイを追い払ったりしながらも、ワシントンエリアで最大のショッピングモール「タイソンズコーナー」(Tysons Coner)まで行ってきました。
まったく欧米はどこへ行ってもゲイのナンパが多くて困ります。

tysons coner

入り口はたいしたこと無さそうですが、ここは売り場面積約18万平米。核店舗の百貨店が5つ、専門店が230も入っているアメリカらしい超大型ショッピングモールなのです。
今回は、秋もののGAPのシャツ(29.99ドル)と、イギリス出張用にkenneth coleのネクタイ2つ(それぞれ12.99ドル)を購入しました。

と、そこまではよかったのですが、あまりにも広いため、困ったことに迷子になってしまい帰りのバス乗り場が見つかりません。
道行く人に聞いても、車で来ている人が多く、よく分からないようです。
結局ショッピングをするよりバス乗り場を探す時間のほうが長くかかってしまいました
これでは、ショッピングモールに服やネクタイではなくバスを探しに来たようなものです。

そのかわり、ついにバスを発見したときの喜びは言葉に言い尽くせないほどした。
ショッピングに興味の無い人でも、この感動を体験するためだけでもここまで来る価値はある、と思いました。



2005年09月04日

カトリーナと貧困黒人層

ハリケーンが通り過ぎてから一週間が経とうとしているのに、いまだに被害の全容も把握できない・・・。
今週のアメリカは、ハリケーン「カトリーナ」(katrina)のショッキングなニュース一色でした。
「まるで市街戦」「第三世界の難民キャンプ並み」と言う言葉に、被災者の一人が「我々は米国人。難民ではない!」と叫んでいたのが特に印象的でした。

壊滅的な被害を受けたニューオーリンズは、19世紀まで米国最大の奴隷市場があった地で、現在でも全米で2番目に所得の低い州だとか。
そして被災者のほとんどは、市から避難する手段を持たなかったアフリカ系(黒人)の人々です。
今回の災害は、図らずも絶望的に広がったままのこの国の所得格差と人種格差を浮き彫りにする結果になりました。
カミングス下院議員は記者会見で「2005年の嵐で生死を分けたのは、貧困と肌の色だったと後に言われるようなことがあってはならない」と話していましたが全くそのとおりで、一刻も早く救助が進むことを願うばかりです。

世界唯一の超大国と言われて久しい米国ですが、その現実は国民健康保険も無く、無保険の人が約4300万人と人口の15%を占めている上に、生活保護も受給を数年で打ち切られてしまうなど、まさしく弱肉強食の国です。
その現状を目の当たりにすると、「弱者を切り捨てることで強くなった国」という、筆者が以前住んでいたイギリスとはまったく逆の印象を強く受けます。

ニューオーリンズは実に住民の67%が黒人だそうですが、実はここワシントンも住民の65%が黒人です。
やはり人種によってはっきりと住むエリアが分かれているのが現状です。
黒人の多いエリアに行くと、なんとなく人種間格差への不満が燻っているような荒んだ雰囲気を感じます。

筆者もわずかながら募金させていただきましたが、赤十字(http://www.redcross.org/)にすでに2億ドルの募金が寄せられた、という盛んなチャリティー精神がせめてもの救いでしょうか。



posted by fumifumi at 15:00| Comment(20) | TrackBack(0) | ■米国あれこれ体験記! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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